空間と音響の相互作用から新たな表現を模索する [真鍋大度 個展レポ1]

アート

こんにちはこんばんは。管理人のOnakaです。夏の暑さもだいぶ和らいで、心地よい涼しさを感じるようになりましたね。このままより過ごしやすくなってくれると良いな…。
9/28に、大阪のグラングリーン内の新たな施設”VS”で行われていた真鍋大度さんの個展に行ってきました。本記事を第1回として、展覧会で公開されていた展示物のレポートシリーズを始めていきます。私なりの解釈と共に、新たな表現を追求する真鍋さんの作品たちを楽しんでいただけると幸いです。

今回の展覧会の主役”PolyNodes”とは?

本展覧会の作品は、”PolyNodes”と呼ばれるソフトウェアを用いて作成されています。PolyNodesは、本展覧会のクリエイターである真鍋大度さんとシナン・ボケソイさんによって共同開発されたジェネラティブ・オーディオ・シンセシス・ツールです。これは、音楽とグラフィクスを全く新しい方法で繋げる革新的なオーディオツールです。例えば作曲をしたい方にとっては、複雑な音楽理論やプログラミングスキルを持たなくても、自らの思考をグラフィクスによって直感的に把握・反映させることができます。逆に音響に造詣の深い方にとっても、画期的な視覚化ツールとして、新たな表現の拡張に繋げることができます。

(引用:https://837a4c-41.myshopify.com/products/polynodes)

さらに詳しい情報を知りたい方は、販売元のSonicLABのHPまで。
https://www.sonic-lab.com/polynodes/
(PolyNodesに関するさらに詳しい記事はまた後ほど書きたいな…。)

会場について

本展覧会の会場は”VS.”という、グラングリーン大阪内に整備された施設です。VS.は、日本を代表する建築家である安藤忠雄氏によって設計監修されました。安藤氏といえば、「光の教会」やアメリカの「ピューリッツァー美術館」などを代表作として、コンクリート打ちっぱなしの無機質な美しいデザインをされるのが特徴的です。今回訪れたVS.も、安藤さんらしい美しい(僕の大好物な)仕上がりでした。特に夜の佇まいが非常に綺麗で、昼とはまた違う表情を見せてくれます。

〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町6−86 グラングリーン大阪 うめきた公園 ノースパーク VS.

Work 1 PolyNodes Installation Debug Viewsの概要

今回の展覧会では、我々参加者の位置情報や体の大きさなどのインプットをもとにPolyNodesのパラメータを制御し、ジェネラティブにアートが生成されていくインスタレーションになっています。その”我々とPolyNodesの相互作用”を簡潔に理解するために用意されているのが、Work 1です。

! 音量注意 !

私の位置情報や動きがセンサーによって解析され、それによってPolyNodesのパラメータも変化し、ジェネラティブにグラフィクスと音が変化しています。このギミックが、この後に登場するWork2, 3の軸になっているのです。

また、ここではWork1が設置されているスタジオ内の参加者の情報だけでなく、Work2以降のスタジオに存在する参加者の位置情報から得られるエフェクトも展示されています。

! 音量注意 !

このように、本展示の軸であるPolyNodesがもたらす我々が参加者として作品の一部となる作用をこのworkで体感します。

デバッグならではの美しさ

真鍋さんと共にRhizomatiksの主催である石橋素さんは、過去に「エンジニアリングの美しさ」という言葉をおっしゃられていました。(東京で行われていた”Rhizomatiks Multiplex”の特番だったかな?)制約のある環境の中で最大のパフォーマンスを実現しようとする取り組みには、先端技術を用い、無駄を省いていく過程が必要であり、それは美的意識を感化するものであります。また、表出する成果物の裏側にあたる部分がエンジニアリングだと形容することもできると思います。自動車で言えばエンジンルーム、電化製品で言えば内部の電子回路、それらには人目につかなくても緻密に設計された美しさがあります。
デバッグというのは、いわばエンジニアリングの美しさが反映されているのではないでしょうか。バグがないかを確認するためにインプットの情報をあえて表示し、アウトプットが適切に行われているのかを可視化しているのは、まさにその美しさを表現しているように思えます。

idとは、空間内に存在する参加者それぞれに割り振られた番号です。それぞれの参加者(id)の位置情報や大きさがインプットとなり、ジェネラティブにインスタレーションが進行します。

自分をもとにしたインプット情報がシステムによってどのように解釈され、アウトプットにつながっていくのかを見ることは、ものの仕組みを追求するエンジニアとして興味をそそられます。

おわりに

今回は真鍋大度さんの新作個展”Continuum Resonance -連続する共鳴-“の中から、最初のインスタレーションWork 1のレポをお届けしました。デバッグビューならではの美しさ、自らが作品の一部であることを体感するものでした。しかしこれはまだまだ序の口…次回の”Work 2 PolyNodes Visualization”のレポートも近日中に公開しますのでお楽しみに。それでは。

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